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想いにまかせて

デビュー50周年を迎えて今脳裏に浮かぶのは、16歳でスペインに留学し4年後に帰国して、虎ノ門ホールでデビューリサイタルをした時のことです。開演前、楽屋で緊張した面持ちで出番を待っていた時のことを昨日のように思い出します。50年の間には楽しい事、苦しい事をいっぱい経験しましたが、やっぱり楽しい事の方が多かったと思います。そして自分にとって常に気がかりだったのは、ギターという素朴な楽器を通していかに豊かな感情表現出来るかということでした。若い頃はギターと闘っていたと思いますが、50歳を越えた頃から自分の中にある感情が、ギターの音を通して外に出せる様になり始めました。それからはギターが自分にとって大切な友になり、その響きに心をゆだねる事が出来る様になりました。勿論これらの事は自分一人の力で出来た訳では無く、私を長年にわたって応援して下さっている方達がいて下さっているからこそ成り立っている事を忘れてはなりませんし、感謝の気持ちしかありません。50年間演奏活動をさせていただくことが出来たのは本当に幸せ以外何ものでもありませんが、まだ山の中腹なのでこれからも見守っていただければ幸いです。今回はバッハの作品を心を込めて演奏したいと思います。是非聴いて頂ければ嬉しいです。

2019年5月 荘村清志